ウエハラコマチ  (東京都渋谷区上原)

栗田祥弘建築都市研究所

小さな住戸が寄り添ってできるナカ土間空間

 

長屋とは同じ間取りの住戸を連続させた1階に玄関のあるシステムである。今回は約290㎡の狭い旗竿敷地に16住戸の長屋を要求された。都市の旗竿敷地の特徴は、敷地の四周を隣地建物によって密に囲まれていることである。「住戸数が多い長屋」であることと「高密度で隣地に囲まれている」ことを逆手にとって、内側に建築外観のある長屋を計画した。建物をコの字に配して、中央に人が行き来し、活動できる土間のような場を作り、その場に向かって凹凸のある住戸ボリュームを配置した。内側に凹凸を設けることで、建築ボリュームを小さく感じさせ、開口部同士の見合いをずらし、小さな居場所が散りばめられた小さな都市集落となった。この配置によりセキュリティも万全となる。

 

自分がかつて住んでいたオランダにあるホッフェという住宅構成をオマージュとし、現代性や東京の地形に合わせて構成した。建物をコの字型としたことで、構造耐力上主要となる界壁の方向が2方向になるため、傾斜屋根や階段、踊り場を水平力の伝達要素とした。そうすることによって外壁の開口は自由度が高くなり、住戸のあらゆる方向から外部環境を取り入れることが可能となった。

入居者層は、代々木上原という立地からも余裕のあるひとり暮らしやDINKsが主な入居者として想定され、SOHO利用としての需要も見込まれた。住戸面積も15㎡~40㎡とバリエーションを設けることで多様な選択ができるよう配慮した。

敷地は奥に行くにしたがって下に傾斜する土地で、端から端で約1.8mの高低差があった。傾斜に沿わせて建てることから、1階は玄関から800mm程下りていく。その分天井高を高くとりロフトを十分確保する計画とし、狭さを感じさせない空間とした。南側の隣地境界でさらに3m下がる崖地となっているため、南側は環境も景色も恵まれている。しかし中央の露地を優先したため敷地後退距離を短くせざるをえなかった。よって法規上の採光を確保するのが難しかった。そこで垂直窓とトップライトを合わせた大きな開口を設けることで1階であっても法規的にも環境的にも自然光を十分に取り入れられる開放的な空間とすることができた。

2階・3階はメゾネットとし、下階にキッチンダイニング、最上階は屋根勾配がそのまま天井に表れる屋根裏部屋のような寝室とバスルームの構成とし、住む楽しさを演出した。

用途   : 長屋(16戸)

敷地面積: 291.42㎡

建築面積: 173.86㎡

延床面積: 436.88㎡

Photo:ナカサアンドパートナーズ 守屋欣史

    © 2014 Yoshihiro Kurita, Architect & Associates / nextstations / cut / Support team for Hisanohama Ohisa in Fukushima 

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